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「残-ZAN-」
1997年に結成。
現在ではワールドワイドに活動し、海外の大物メタルバンドにも評価されているDIR EN GREYだが、結成された年にリリースされたミニアルバム「MISSA」は、素人にもヘタクソだとわかる、音ペラペラな作品だった。
そして、メジャーデビュー2年目あたりまでは、本当に'90年代のヴィジュアル系バンドの色んな部分をパクった、典型的なヴィジュアル系バンドのひとつだった。
「予感」
「-I'll-」
特に顕著だったのが、メジャーデビュー時のVo.京の髪型とメイク。これがメジャーデビュー当時の黒夢・清春にそっくりだった上に、デビュー曲のひとつ「残-ZAN-」は、もろに黒夢「親愛なるDEATH MASK」に影響を受けた曲である。
「アクロの丘」
だが、そんなパクリがどうでも良いと思わせるほど、そのデビューは派手で鮮烈なものだった。結成後たった1年半でメジャーデビュー、メジャーデビューシングルはYOSHIKIプロデュースで3作同時発売、しかもその3作すべてがオリコン10位以内にランクイン。
同時期に、タモリさんが司会のテレビ番組「ミュージックステーション」に出演するが、よりによって3枚のシングル曲の中で最もお茶の間で流してはいけないキチ○イじみたパンクチューン「残-ZAN-」を演奏。
天井から真っ白な人が吊るされていたり、壁の中から人が出てきたり、Vo.の人は眉毛に安全ピンを刺した厳つい表情で喚いたり、B.の人はタモリさんの前を横切ったり……。さっきまでクレヨンしんちゃんがケツ出して踊っていたテレビ画面を、一瞬にして阿鼻叫喚の画に仕立て上げた。
当然のごとくその日、テレビ朝日には苦情の電話が殺到、翌日のスポーツ紙の一面を飾ることとなった。
ちなみにあと2つのシングル曲「ゆらめき」「アクロの丘」は、Mステで歌ったとしても大丈夫そうなおとなしい曲である。わざわざ「残-ZAN-」を選んだのは意図的とか。
「FILTH」
「GARDEN」
以後、バリバリのヴィジュアル系でありながらも出すシングルはすべてトップ10入り。2ndアルバム「MACABRE」は、そこそこヴィジュアル系に免疫があってもエグさを感じさせるディープな内容となった。
「ain't afraid to die」
「理由」
2000年夏頃にVo.京が突発性難聴を発症。以後、彼は過激なライブパフォーマンスや自傷癖により何度も病に冒されている。
しかし結果的に、病気になったことで完全に吹っ切れたためか、それまでのキャッチーな部分がなくなり、エログロや人間の醜悪をブチまけた表現が加速する。ステージパフォーマンスも、口から汚物を吐き出す、間奏中に腹部を真っ赤になるまで掻き毟る、リストカットを始めるなど、過激なものになっていく。
「羅刹国」
「CLEVER SLEAZOID」
2005年のシングル「CLEVER SLEAZOID」から、ほぼノーメイクでの活動になり、同時期から海外での活動も活発化。ワールドワイドなNU METAL BANDとして評価されていく。
「DIFFERENT SENSE」
「RED SOIL」
もはやノーメイクになった今、ヴィジュアル系のカテゴリーに収まらない存在になってしまった。10年前は完全にどう見てもヴィジュアル系だったのに。
「輪郭」
刺激的なパフォーマンスはさることながら、表現の凄まじさ、痛々しさ、エグさは年々増し、もはやそんじょそこらのヴィジュアル系の残酷描写など可愛く思えてくる。いつも聴いていると危険な領域に踏み込んでしまいそうなので日常的にはもう聴かなくなったが、時折聴いてみたときに、確実に心を揺さぶってくる。